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THS710A液晶ディスプレイの修理

2019/01/10

テクトロニクスのオシロスコープTHS710Aの液晶画面の中央部分が白く変色してしまい使い物にならなくなったので、応急的に修理してみました。表示の具合からおそらく偏光板の接着剤の部分的な変性によるものと思われます。補修用の偏光板は入手性の良い市販のものを使用します。

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用意するもの

 
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修理内容

 順を追って説明します

  1. 本体を分解します。まずはフロントカバーを取り外します。

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  2. 次にキーボードを手前にめくって液晶ディスプレイにアクセスします。

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  3. 液晶ディスプレイユニットをめくって背面にあるフレキシブルケーブルを取り外します。ロックを外すのを忘れないように・・・

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  4. 液晶ディスプレイユニットを分解します。背面を上にして、6箇所あるカシメを真っ直ぐにして外します。

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    こじ開けて背面側を持ち上げたら、バックライトユニットのネジ止め部分が破損してしまいました・・・ 2箇所のみネジで固定され反対側は固定されていないので、Gをかけると簡単に割れてしまいます。後でアロンアルファで固めることにします。

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  5. 表側の液晶本体もアルミフレームに固定されておらず、簡単にめくれます。静電気対策(?)のシャシーアース線が基板にはんだ付けされていますのでフレームとは分離できません。液晶の偏光板の中央部には大きなムラが確認できます。

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  6. 偏光板をピンセットとラジオペンチでひっぺ返します。

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  7. 偏光板を外しましたが、変性した粘着フィルムがガラス板にへばりついています。シートの周辺部はピンセットとラジオペンチで引き剥がすことが出来ますが、中央の変性部分はガラス板にへばりついて残ります。この部分は剥離剤を塗布して、ヘラで削ぎ落とす必要があります。

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  8. 液晶版の縁をマスキングテープで養生して、剥離剤を塗布して5~10分ほど待ちます。

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  9. ヘラを使って粘着シートを取り除きます。表面は硬くなかなか取り除けませんが、その下の粘着剤は剥離剤で融解しますので簡単に取り除けます。

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  10. きれいに取り除けました。

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  11. 裏面にも偏光板が貼り付けられていますが、変色の程度は低いので表だけを交換してなんとかなるかもしれません。一旦ユニットを組み直して電源を入れて表示を確認します・・・ ダメみたいですね。

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    本体上に市販の偏光板を重ねて表示を確認しています。

    この時、偏光板の向きを確認しておきます。


  12. 再び液晶ディスプレイユニットを分解し、裏側の偏光板を剥がします。やはり粘着剤の中央部分が変性しています。

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  13. 表と同じ要領で粘着剤を取り除きます。

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  14. きれいになりました。

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  15. さきほど偏光板の向きを確認しておきましたので、購入した偏光板をディスプレイユニットに収まるサイズにカットして、液晶ガラス板の両面に挟んで液晶ユニットを組み上げます。見え方が心配ならもう一度仮組みして表示の状態を確認します。表側と裏側の偏光板は、同じ向きで良いはずです。偏光板の表裏には保護シートが貼られているので、必ず取り除きます。

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  16. 本体を組み上げ、完成です。純正の偏光板ではないためか、(バックライトが明るすぎ??)画面が青みがかりコントラストが若干落ちてしまいました。偏光板の角度も最適化すればましになるかもしれませんが、視認性は問題ないためこれ以上は調整しません。

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粘着剤は経年劣化するしやり直しがきかないので、今回は偏光板は粘着剤なしのものを使用しました。


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